出産後の骨盤
■産後3週間は骨盤のための回復期間
骨盤には仙骨を真ん中にして左右に寛骨(腸骨+座骨+恥骨)があり、これが出産のときにははずれるのではないかと思うくらい大きく広がります。
赤ちゃんの頭が通過する恥骨と座骨の間(骨盤底部)も大きく開きます。
また産後は下腹から完全に力が抜けます。
通常は下腹を指で押すと筋肉が即反射的に押し返して跳ね返るような手ごたえを感じるのですが、この反発力がなくなって指がずぶっと入ってしまいます。
特に力を入れようとしなくてもどんな姿勢でも引き締まっているのが下腹の基本ですが、その下腹が空っぽになるイメージです。
骨盤を引き締めているのは主に下腹の筋肉です。
靭帯がゆるむうえに、普段お腹を締めている筋肉もゆるみきるのですから、出産で骨盤はバラバラになるといっても過言ではありません。
この状態では立っていてもふんばりがききません。
まずは下腹に力が戻ってくるまで、無理に動かないのが良いのです。
6〜8週間かけて身体は妊娠前の状態に戻ろうとし、子宮が収縮する時に「後陣痛」が起きたり、「悪露」が出たりします。
この時期を「産後の肥立ち」期間と呼び、この期間を安静に過ごすか否かで、その後の体調に大きな影響を及ぼします。
出産後しばらくの間は靭帯が緩んだままの状態が続き、筋肉もダメージを受けている状態なので股関節がグラグラした感覚や座った時に違和感がでます。
産後の肥立ち期には安静に過ごすことが大切なのですが、その期間は運動量が減少するため、筋肉が落ちてしまいます。筋肉が落ちると血流も悪くなります。
また産後は尿漏れに悩まされる人が多いです。
産後しばらくは下腹を引き締める力(=骨盤を引き締める力)が入りません。
骨盤底部(=会陰)のあたりにギュッと力を入れても、うまく縮まらないようなら骨盤底筋は疲れきっています。
そうなってしまった骨盤底筋にさらに負荷をかけてきたえようとしてもいうことをきいてくれません。
ちぢめられるようになるには、まずゆるめることが大切です。
そんな状態で育児に突入してしまうため、身体が強ばった状態が続き、肩こり、腰痛、倦怠感、慢性疲労などの症状が出たりします。
姿勢を意識していても授乳や抱っこ、添い寝などいろいろな姿勢により身体に歪みを作ってしまいます。
赤ちゃんとの生活中では運動する時間がなかなか取れず、筋肉が回復しないまま産後1年が経ち、上記のような症状が続くというわけです。